プログレの入門編といえば、だいたいこの三柱が“教科書的存在”は
・Pink Floyd「狂気」
この3枚
どれも整った門構えの“正しき入口”だ。
しかし当時のぼくは、その表玄関を華麗にスルーして裏山に続く獣道(笑
へと吸い込まれていった
なぜか手にしていたのはYESの「RELAYER」
今でも「なぜFRAGILEじゃない?なぜCLOSE TO THE EDGEじゃない?」と、自分にツッコミを入れたくなる
「Tales from Topographic Oceans」という賛否両論の超大作を作った直後、Rick Wakemanが去り、新加入のPatrick Morazがキーボードを担当したタイミングの作品
YESファンの大半はRickを“王道の鍵盤魔術師”として愛しているけれど、私の耳をさらっていったのはMorazの異国風味のシンセだった。
流線形なのにスパイスが効いてて、どうにもクセになる。
ただし、YESをこれから聴きたいという人に向けては、あまり胸を張って「RELAYERいこう!」とは言いにくい。
入門者は素直にFRAGILEかCLOSE TO THE EDGEから味わう方が健全だと思う
RELAYERは、まあ…山でいうと「序盤から鎖場と急登が連続する変態ルート」みたいなものなので。

アルバム構成は3曲
たった3曲なのに、腹八分どころか“胃袋の奥に電撃が走る”くらいの濃度だった
評価は真っ二つに割れる。だがそこがYESらしい。
■ The Gates of Delirium
21分55秒。
いきなり長尺な曲
物語は戦争と平和がテーマで、前半は怒涛の攻撃パート
ドラムは暴れ馬、シンセは渦巻く光の槍みたいで、音がぶつかり合いながら押し寄せてくる。
そして終盤に差しかかると表情が一変して“SOON”パートへ。
荒れ果てた大地にようやく風が吹くような叙情が訪れ、そっと曲が閉じる。
初めて聴いたとき、「音楽ってこんなに地形が変わるのか」と本気で驚いた
■ Sound Chaser
SOONの余韻をぶった斬るように始まる、ジャズのような乱気流。
ベースとギターのユニゾンは常識の外にある何かで、ドラムは重力を斜めに曲げて回転している。
“超絶技巧”なんて甘口ワードでは弱すぎる。全員が限界突破し続けている曲。
Steve Howeのギターもいつもより攻撃的で、どこか切れ味が鋭い。
そして最後の謎のCHACHACHA。
初聴で固まった
ライブ映像を見ると、これを平然と演奏しているから余計に笑えてくる。
個人的にはYES全曲ランキングを作れば間違いなくベスト5に入る
■ To Be Over
前の二曲でぐっちゃぐちゃに揺さぶられたあと、YESらしい透明感が戻ってくる。
水の上をふわりと歩くような穏やかさで、アルバムを閉じていく。
RELAYERを“ただの混沌”で終わらせない美しい出口になっている。
まとめ
プログレの入門としてはまったくおすすめしない、けれど“音の冒険”としてはこんなに刺激的な初体験もない。
私の音楽遍歴のスタート地点がRELAYER
今思えばおかしくも愛おしい